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『完パケ!』発売から一週間たちました

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『完パケ!』額賀澪/講談社

2/20に講談社より8冊目の単行本となる『完パケ!』が無事刊行され、1週間と少し。
立ち寄った書店さんで平台に並んでいるのを拝見したり、遠く離れた書店さんから売場の写真が届いたり、読んでくださった方から感想が届いたりと、ここ数日は新刊が出た直後特有の幸せとソワソワが合わさった気分を毎日味わっております。

今日は日本アカデミー賞の授賞式でもあります。なので、『完パケ!』について書こうと思います。

『完パケ!』と映画の学校

『完パケ!』の主人公である北川と安原。この二人が通う武蔵映像大学は架空の大学です。
これ! という明確なモデルはないのですが、この小説を書くにあたって、今はなき日活芸術学院の関係者にいろいろとアドバイスをいただきました。

日活芸術学院とは、映画会社の日活が経営していた映画学校です。日本アカデミー賞にノミネートされている作品にも、たくさんのOB・OGが関わっています。映画の現場で石を投げたら日活芸術学院の卒業生に当たると言われているほど、業界人をわんさか輩出しました。

そんな日活芸術学院ですが、2013年に閉校してしまいました。

今回、『完パケ!』という物語で「経営難で閉校の噂が飛び交う映像大学」を舞台にしたのも、この学院の存在が大きかったです。

日活芸術学院の閉校が決まった際、こんな文書が日本映画・テレビスクリプター協会の会報誌に載りました。日本映画・テレビスクリプター協会より許可をいただき、掲載させていただきます。

「日活芸術学院がなくなるっ!?」日本映画・テレビスクリプター協会 第32号会報より

「日本映画・テレビスクリプター協会 第32号会報」より

 

『完パケ!』の中で、北川と安原は自分達の通う武蔵映像大学の存続をかけて卒業制作の映画を撮ります(本当はそれぞれに別の思惑があるのですが)。
そんなストーリーに至った理由の一つに、実はこういった映画学校の存在があり、実際にそこを卒業した方々が映画業界で活躍しています。

ちなみに、本日とある書店員さんから、

「『完パケ!』を読んで閉店してしまった系列店のことを思い出した。2年前に閉店したのに、未だにあの店のことをお客さんに聞かれることがある」

という言葉を感想と共にいただきました。

学校が閉校したり、書店が閉店したり。それまであったものがなくなるということは、それなりの理由があります。学生が集まらなかったとか、お客さんが減る一方だったとか。
しかしどんな理由であれ、なくなってしまったことで喪失感を覚える人は必ずいます。

恐らく『完パケ!』の世界でも、北川と安原の通う武蔵映像大学は「潰れても仕方がない大学」という扱いを受けています。学生は集まらないし、将来の潰しも利かないし。

それでも彼等はそれぞれに「失いたくないもの」や「失うわけにはいけないもの」があって、映画を撮ることで抗おうとします。

新刊が出たあとになかなか作品について踏み込んだ話をする場がないので、せっかく始めたブログで語ってみました。
日本が映画の話題で盛り上がるこの日に、『完パケ!』に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

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『完パケ!』好評発売中!

たくさんのものを失って、僕らはだんだん逞しくなる

閉校の噂が飛び交う武蔵映像大学に通う、安原と北川。
しかし、卒業制作の監督の座は、たった一つ。二人は監督の座をかけてコンペでガチンコ勝負をすることになる。

自分の能力のなさに落ち込んで、才能のなさを嘆いて、誰かの抱えた葛藤に嫉妬して――
喪失を経て傷つきながら、それでも映画を撮り続ける彼らが手にしたものとは?

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