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『拝啓、本が売れません(仮)』を作ることになったきっかけ。

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きっかけは《プルーフ》

2016年10月刊行『君はレフティ』のプルーフ

2016年10月刊行『君はレフティ』のプルーフ

『拝啓、本が売れません(仮)』を刊行するKKベストセラーズは文芸作品をばんばん出すような版元ではありません。担当編集のワタナベ氏も「文芸の編集はやったことがない」と言うくらいです。
そんな私とワタナベ氏が何故出会ったかというと、話は今から1年以上間に遡ります。

『君はレフティ』という本の刊行直前で、私はTwitter上でプルーフを読んでくださる書店員さんを募集していました。
プルーフというのは、本の発売前に書店員さん向けに本の内容を紹介する見本誌のようなものです。本の販促物として、出版業界では非常に重視されております。
『君はレフティ』のプルーフ本をTwitterで宣伝していた私をワタナベ氏は偶然見かけ、連絡をくれました。

2016年の秋、私は新宿でワタナベ氏と会いました。
紀伊國屋書店新宿本店にほど近い、美味しい水炊きのお店でした。

「新人作家は、SNSを使って自分の本を宣伝しないといけないんですねー」
自己紹介と世間話をして、二人で鳥水炊きを突いていたら、ワタナベ氏はそんな話を始めました。
「額賀さんなんて松本清張賞と小学館文庫小説賞をダブル受賞してデビューしたんだから、いい小説書いてれば順調にキャリアを積んでいけそうなものですけど」
「いい小説書いてるだけで作家やってられたら苦しゅうないですよ……」

そもそも、ダブル受賞で華々しくデビューしたのも1年以上前のことです。デビューの頃に流行っていた歌も、お笑い芸人も、映画も、連ドラも、すんなりとは出てこなくなりました。
1年という時間は、残念ながらそういうものです。
このブログを書いている2017年12月は、そこからさらに1年以上の時間が経過しました。

お先真っ暗、ゆとり世代

「もうね、私は老後が不安で死にそうです」
「額賀さん、まだ20代じゃないですか」
「多分、今の20代が全世代で最も老後に不安を覚えてますよ。絶賛老後中の人達より老後のこと考えてますよ。断言してもいい!」

今の20代って、ほぼほぼ平成生まれなんです。物心ついた頃にはもうバブルなんて木っ端微塵に砕けて不景気だったんです。自分のお小遣いで買い物をする頃には、消費税は5%。よくわからんうちにゆとり教育なるものが始まって、気がついたら世界中でテロが起こって、いつの間にか「だからゆとりは駄目なんだ」と蔑まれるのにも慣れてしまいました。会社員になったところでその会社もいつまで存在するかわからないし、頑張って働けばそのぶんお給料が出るわけでもないし、コツコツ真面目に収めた分だけ年金がもらえるとも思えない。きっと数十年後には下の世代から後ろ指を差されながらひもじく死んでいくのです。

いいものは年を経るごとに悪くなり、悪いものはどんどん悪くなっていく。

それが、もうすぐ終わりを迎える平成という時代に、平成生まれの私が教えられたことであります。

『重版出来!』小説家verを作ろう

「僕は逃げ切れない世代なんですよ」
私の“ゆとり世代お先真っ暗トーク”を聞いたワタナベ氏は、こんな話をしてくれました。
「僕は今40歳ですけど、出版業界で今まで通り仕事をして定年を迎えられるほど年を食っているわけでもないし、業界の変化に柔軟に対応できるほど若くもない。何もしないでいると絶対に不味いことになる世代です」
「もたもたしてたらお先真っ暗なのはお揃いですね」
「嫌なお揃いですねー(笑)」

そんな顔合わせがその後どうなったかというと、辛気くさい話題の割に結構盛り上がりまして、私とワタナベ氏は一緒に仕事をすることになりました。

ワタナベ氏は言いました。
「ここは一つ、もたもたしてたら死んじゃう者同士、お互いのためになる本を作りませんか」
「《額賀の本をベストセラーにする方法を探す本》ということなら、喜んでお仕事しますよ。黙って小説書いてても死んじゃう運命なんですから」
「さしずめ『重版出来!』(松田奈緒子/小学館)の小説家verですね」

かくして、私達は《額賀の本をベストセラーにする方法》を探して、本を作ることになりました。

そして、肩慣らしにこんな記事を作りました。

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