コラム|映画『プアン/友だちと呼ばせて』

8月5日(金)公開の映画『プアン/友だちと呼ばせて』のパンフレットにコラムを寄稿しました。

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で注目を集めたタイのバズ・プーンピリヤ監督と、名匠ウォン・カーウァイ氏による、タイとニューヨークを舞台にした青春映画です。

ニューヨークでバーを営んでいた主人公・ボスが、余命宣告を受けた友人・ウーの「かつての恋人に会いたい」という願いを叶えるため、運転手としてタイを巡るロードムービーなのですが、このわかりやすいあらすじだけでは語りきれないほどの、さまざまな形の愛について描かれた作品でした。

過去と現在、ニューヨークとタイが結ぶ失われてしまった恋と友情と夢。かつて友人同士だった二人が抱え続けた秘密。切ないロードムービーが二転三転し姿を変えていく様は、淡々としているのに美しく、その構成力に圧倒されました。

映画会社の担当者が拙著『世界の美しさを思い知れ』を読んでこのコラムの依頼をくださったのですが、試写会で作品を拝見して、都会で偶然同じ村出身の人と出会った気分になり、勝手に励まされたような気持ちになりました。

美しくノスタルジックな映像と音楽が織りなす、夏にぴったりな一本です。ぜひ映画館で観てください。私も近々お客さんとして観に行こうと思います。